PEPS編集委員の芳村圭と申します。専門は水文気候学や同位体地球化学になります。特に水の同位体を利用した水循環や古気候の解明を目指しています。
突然ですがみなさん、Dependency Index(扶養指数)という言葉をご存知でしょうか。知りませんよね。私が作った言葉です。まだ模索中ですが、
DI=主著論文数÷全論文数
という定義に落ち着きつつあります(派生指標としてDIH=H-Index(主著)/H-Index(全論文)などというのも考えられます)。要するに研究活動においていかに人に頼っているかを示す指数です。昨今、評価を受ける際に論文数だ、被引用件数だ、Impact Factorだ、H-Indexだといろいろとありますが、それらに共通するのは何かわかりますか?それは年齢とともに増加する、という性質を持つことです(Impact Factorは多少異質ですが、年数とともに有名雑誌に載る機会も増えます)。(自称)若手から言わせてもらうとそんなものは年を取った方々の既得権益を守るための産物です。年齢補正してくれないと全く意味がありません。「若いのにこの数字はすごいね」という評価になることもありますが、だったらちゃんと客観的で正確な年齢補正をすればよいのです。
その点DIは恐ろしいですよ。年齢とともにDIもだいたい下がります。活動が広がればどうしても共著論文が増えていくからです。学生が大勢いる大学教授なんて大変なことになります。かくいう私も2010年に東大に赴任してから減少傾向に歯止めがかかっていません(赴任前0.50→2015年11月現在0.18)。
DIをとある偉い先生に紹介してみたところ、「俺は(PDを)たくさん扶養している!」と怒られてしまいました。それはそれでごもっともですが、そういう業績は前述の指標で十分評価されるところだと思います。DIを下げないために活動を縮小するなどというのは本末転倒で、DIの本意ではありません。世の中に広まっているH-Indexなどの普通の指標を上げるために活動を広げつつ、自分で論文をがつがつ書いていた若かったころを思い出して、こっそりと自分への戒めとするための指標です。人に扶養してもらった(共著に加えてもらった)分、人の扶養(共著に加えてあげること)に貢献すべきと考えてもよいでしょう。「H-Indexが高いのにDIも高いなんてすごい!」というのが適切な目指すべき姿だと思います。
なお、そもそも自分の昨今の惨状を何とか打破するために考えたものなのですが、その意味ではまだあまり役に立っていません。私に会ったら「おい、DIどうなった」と聞いてくだされば、より励みになりますのでよろしくお願いします。
図:筆者の論文数(主著(青)とそれ以外(赤))とDI(実線)の推移。
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PEPS 大気水圏科学セクション編集委員 / 東京大学 大気海洋研究所 芳村 圭 |
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